前編からの続き
2週間ほど前のこと、ご近所のお友達Мさんから電話。「お願いしたいことがあるのだけれど、電話だと失礼なので今からお宅に伺ってもいいですか?」と。
気の合うお友達Мさんにお越しいただくのはウエルカム、「どうぞ、どうぞ。」と文字通りの二つ返事で了承しつつ、「電話だと失礼なお願いって一体何だろう?」と少しの不安も感じたのも本心。
程なくいらしたМさんから伺ったお願いとは、私の心配は杞憂に終わる嬉しいお話だった。
そのお願いとは、
Мさんと今もお付き合いのある48年前に私達の自宅を建てた方が、家を見に行きたいとおっしゃっていて、可能ならば都合の良い時にМさんと一緒に家に来て部屋の中を見せてもらいたい、というもの。
思いがけない嬉しいお話に、電話を頂いたときにしたお返事と同じく「どうぞ、どうぞ。」と二つ返事でお引き受けしたのだった。
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私達の住む家は、私達が4代目のオーナーです。私達に売ってくださった3代目オーナーとは面識があるけれど、それより以前のオーナーの方々のことは分からなかった。風の噂では初代オーナーはパチンコ屋さんだとか、海運会社の社長だとか聞いたことがあったけれど、どれも定かではなく。
ただ、私達は、その実像を知らない初代オーナーにずっと感謝してこの家に暮らしてきた。
この立地ならではの景色を存分に楽しめる天井までの大きな窓、
可愛い丸い窓もある。意匠を感じる挽き物の階段の手すりも、
玄関の重厚なタイル張りの壁も、
傾斜地を生かして半地下のようなスペースに作られた広いガレージも、
数え上げればきりがない程お気に入りポイントがある。一体48年も前にこんな素敵な建物を作った人ってどんな方なんだろう?と関心があったし、快適に幸せを感じながら暮らせるこの家を建ててくれた方に常々感謝の思いを抱いていた。
その御本人にお会いできることになるとは、とても嬉しかった。直接感謝を伝えられることも、家族で手作りした今の空間を見てもらえることもとても嬉しかった。
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そうして先週末、初代オーナーはМさんと共に我が家にいらっしゃった。
てきぱきとした立ち振る舞いで華やかなファッションの女性。小柄だけれどパワフルなお人柄がそこはかとなく漂っていた。謎に包まれていたその正体は、飲食店を営まれていた経営者(現在は引退)かつ、日展にも入賞したことがある女流画家だそう。更に驚いたことには、この家を何と!27歳の時に女手一つで建てたそう。(築年数から換算すると御年75歳)。その時には既にお子さんもいらして、子育てしながら20代で家を建てたというスーパーウーマンだった。
後編に続く、、、、